コラム
COLUMN
顔認証リーダーFE-500における顔情報の登録プロセス
顔認証は、カメラで撮影した人間の顔にあるパーツや奥行きなどの情報を活用して個人を識別します。人間の目では、極めて似ている顔と感じるような顔でも、顔認証では別人だと判別が可能です。顔認証機能が搭載されたFE-500を導入すると、セキュリティの強化や衛生的な認証環境を構築できます。顔認証機能を利用するには、あらかじめ顔認証リーダーへアクセス権を付与する人の顔情報の登録が必要です。登録された顔情報をもとに、顔認証リーダーは入室を許可された人かどうか判断します。
◎顔を事前に登録して本人識別を行う顔認証の特徴
顔認証の特徴のひとつは、セキュリティ対策の強化です。顔認証は、同じ情報を持つとはされない、人間の顔の特徴を用いて、入退室の権限がある人かどうか判断します。顔認証を使って立ち入るには、事前に登録した、目や鼻などのパーツの距離を測定して得られる平面的な情報から、顔の奥行きや凹凸などの立体情報が求められます。二次元情報と三次元情報、詳細な顔情報が顔認証では必要なため、人間の目では見極めが難しいくらい類似している顔でも、顔認証は別人だと判断可能です。顔認証機能が備わった認証リーダーを配置すると、ハイレベルなセキュリティと入退室の管理、誤侵入の防止に貢献します。顔認証は、複数ある本人認証のなかでも、とくに衛生的な認証方法です。顔認証カメラの撮影範囲内に登録済の顔があるだけで本人認証ができる、つまり完全非接触で認証プロセスが完了する手段が顔認証だからです。顔認証を実施するときは、顔認証カメラに事前に登録した顔が映りさえすれば、顔認証リーダーは、登録済の顔と検出した顔情報を分析し照合できます。季節性のインフルエンザや感染病が発生しても、何にも触れず本人確認が実現する顔認証は、非常に衛生的です。また、マスク検出機能がある顔認証リーダーを導入した場合、マスクをしていても登録した顔と同じ特徴を持っているかどうか識別できます。顔認証には、物理的な鍵をはじめ、紛失リスクがないという特徴もあります。本人認証を行うときは、あらかじめ登録した顔さえあれば顔認証ができるため、顔以外必要がないからです。鍵を紛失すると、取り換えのコストや、流用されるリスクが発生します。一方、顔認証は、模倣や偽造が極めて難しい人間の顔という生体情報を鍵としています。登録済の顔のみで、精度の高い本人認証が可能な顔認証は、紛失と不正利用を未然に防げる手段です。
◎管理者としてFE-500を設定するときの登録方法
FE-500で顔認証を利用し、入退室管理シーンで活用するには、利用する人の顔の登録が欠かせません。顔を登録する際は、顔認証リーダーFE-500に直接登録する方法もありますが、目を見張る速さで莫大な情報を処理する「Gauss(ガウス)」を通じても、情報は登録できます。まずは、FE-500の顔認証機を使うために、顔認証リーダーの管理者設定を進めます。管理者設定では、初回ログインパスワードの変更が必要です。顔認証リーダーの画面の右下にある、「歯車マーク」をタップし、設定画面を開きます。ユーザー名とパスワードを入力する画面が表示されたら、デフォルトで設定されているユーザー名とパスワードを入力してください。デフォルトのユーザー名とパスワード情報は、「FE-500個別設定マニュアル」で確認できます。各情報を入力し「ログイン」をタップすると、項目が6つ表示されるので、一番下にある「設定」をタップします。画面が変わったら「System」をタップしてください。画面を下にスクロールしていくと「Account Setting」というボタンがあります。ボタンをタップすると、パスワードの入力が求められるので、デフォルトのパスワードを入力し、「Verify」をタップします。次の画面が表示されたら「admin」、「Admin Password」の順番でタップしてください。「Please enter a new PW」をタップすると、新しいパスワードの入力が可能です。20文字以内で独自のパスワードを作成し「保存」ボタンをタップすると、ホーム画面に戻り、パスワードの変更が完了します。パスワードの変更後は、管理者の顔を登録します。画面右下の「歯車マーク」をタップし、独自で設定したパスワードを入力します。「設定」、「System」の順番にタップし、画面をスクロールして「Account Settings」をタップします。次の画面が表示されたら、変更した独自のパスワードを入力し、「Verify」をタップしてください。「admin」、「Registration photo」、「+」の流れでタップすると、顔認証リーダーのカメラが起動します。顔枠内に収まるように、管理者の顔を撮影し登録します。数秒待った後に「Face collection succeeded」と表示されたら、管理者の顔情報の登録は完了です。登録が完了したら、カメラから別の画面に切り替わります。画面左上の「←」を5回タップすると「Management Center」が表示されるので「×」をタップして、ログオフします。管理者の顔情報を登録すると、次回の操作時より顔認証で本人認証できるため、パスワードの入力は不要です。顔認証でログインするときは、「Face Login」をタップすると顔認証に進めます。FE-500を利用するには、まずは管理者の設定が必要です。管理者設定をひととおり完了させてから、次のステップに進みます。
◎FE-500で顔認証を使う際の登録プロセス
管理者の登録が完了したら、アクセス権を与える利用者の顔情報を顔認証リーダーに登録していきます。管理者は「歯車マーク」をタップし、パスワードを入力するか顔認証でログインしてください。「Personnel Management」、「New Personnel」の順でタップすると、顔認証カメラが起動します。枠内に、立ち入りを許可する対象として、登録したい人物が収まるように調整します。画面下部に「顔が認識できません。」のようにメッセージが表示されたら、内容に従って、適宜対応してください。数秒経過した後に「Face collection succeeded」と表示されたら、利用者の顔情報の登録は完了です。利用者の顔情報登録後は、利用者の基本情報を入力します。入力が必要な情報は、「User ID」「名前」「カード番号」「パスワード」です。「User ID」は、ほかの登録者と重複しないよう、英数字20文字以内で登録します。「名前」は、顔認証リーダーから登録する場合は、20文字以内の英数字が使えますが、Gaussから登録する際は、漢字も利用可能です。「カード番号」は、カード認証を使う場合は設定します。右側のカードマークをタップすると、カード読み取りモードに切り替わるので、登録するカードを近づけます。「パスワード」を使うときは、6桁で設定してください。すべての情報の入力が完了すると「次へ」が青くなるので、タップし次の画面へ進みます。表示された画面では、本人認証を行うときに使用する認証方法を選択し、登録します。「Single Access Method」は、チェックを入れた認証方法の「どれかひとつ」を使って本人認証を行う設定です。「Multi-verification Method」では、利用する認証方法を2つ選択します。「チェックした2つの認証方法」を使って本人確認を行う方法です。たとえば、「Face + Card」を選択した場合、入室するには、顔認証とカード認証、両方が求められます。強力なセキュリティが必要なシチュエーションに適しています。使用する認証方法を選択し、保存をタップしたら、個人の利用者の登録は完了です。ほかの利用者の登録を行うときは、「New personnel」をタップし、同じ作業を繰り返します。登録を終了する際は、左上の「←」をタップし、次の画面で表示される「×」をタップしてログオフしてください。
◎安全に顔認証を利用するときの留意点
日常的に人間は、顔を見て相手が誰か判断するため、顔認証は、ほかの生体認証を比較し、受け入れやすい生体認証のひとつです。顔認証は許容できる人が多い本人認証ですが、登録済の顔情報の取り扱いやプライバシーの保護は重要です。指紋や静脈、虹彩情報と同じく、顔情報も、れっきとした個人情報のため、顔認証リーダーへ顔を登録する人に対して、説明が求められます。たとえば、登録した顔情報を使用する目的や、使用範囲を明確にしたうえで、顔を登録してもよいか本人に確認します。顔情報を登録した人が、退職したり施設の利用を停止したりするときは、適切かつすみやかに、登録した情報を削除する対応も欠かせません。登録済の顔情報を操作し管理できる人物を限定し、誰でも簡単に登録情報へアクセスできない管理体制や環境作りも求められます。安全に顔認証を利用するには、顔の情報も個人情報だと理解したうえで、取り扱いや顔を登録する人物に対し、明確なルールの説明が必要です。顔認証のセキュアな運用を実現するには、情報漏えいの防止対策が欠かせません。登録する顔の情報は、重要な個人情報であり、保護されるべき対象だからです。とくに、指紋や虹彩情報をはじめ、生体認証で活用する生体情報は、修正や変更が極めて困難な特徴を持っています。数字を鍵とする暗証番号認証のような認証手段とは異なり、生体情報を鍵として使う生体認証は、容易な書き換えができません。情報漏えいを防止するには、登録した顔情報が暗号化されるような顔認証リーダーを活用すると、リスクをおさえられます。ネットワークのセキュリティ環境も重要なポイントですが、顔認証リーダーを操作できる人物を限定した、人的なリスクやヒューマンエラーの回避策の準備も不可欠です。
◎顔認証で入退室を管理する顔認証リーダーFE-500の導入事例
顔認証を使い入退室を管理すると、正確な入退室の時間の把握や記録、立ち入れる人物の制限などが可能です。顔認証機能が搭載されたFE-500を活用すると、セキュリティ強化や衛生的な本人認証環境を構築できます。
⚪︎介護施設の夜間通用口に顔認証リーダーFE-500を導入した事例
ある介護施設では、職員の人数が減った深夜帯の入居者の無断外出が、問題となっていました。入居者の安全を確保しつつ、緊急時はスムーズな出入りができるよう、顔認証リーダーFE-500を取り付けました。顔認証リーダーは、夜間通用口の内側に配置し、職員の顔のみを登録しています。外へ出るには、職員の登録済の顔が必要なため、入居者が通用口から外へ出ようと試みても解錠されません。顔認証リーダーFE-500により、入居者の無断外出を防止し、安全性の向上に貢献できました。また、非接触で本人確認ができるため、衛生が重視される介護施設でも活用されています。
⚪︎自社ビルのエレベーターホールに続くドアに顔認証リーダーFE-500を導入した事例
自社ビルをもっているある企業では、2階より上にある執務エリアへ、社員以外の立ち入りを制限し、入退室を管理したいと希望していました。受付はあるものの、受付をすり抜けてしまう来訪者の増加が解決したい課題でした。受付をすぎたところにあるエレベーターホールに、ゲートの新設工事を行い、同時に顔認証リーダーFE-500の取り付けを行いました。FE-500には、従業員や清掃員の顔など、アクセスを許可されている対象しか登録されていないため、登録者以外が無断でゲートを通れない環境作りに成功しています。
⚪︎企業の従業員宿舎の入口に顔認証リーダーFE-500を導入した事例
ある企業の従業員宿舎では、入居者以外の宿泊は禁止されていましたが、規則を守らず友人を泊める入居者が問題になっていました。入居者の安全と安心、規則の順守を目的に、顔認証が使えるFE-500を宿舎の入口に設置しました。登録された顔以外の顔を検知すると解錠されない仕組みの顔認証機能を活用し、セキュリティを強化しています。顔認証リーダーの設置により、規律を乱していた従業員へ適切な指導が行え、かつルールを守っている入居者の安心感も向上しました。
◎まとめ
顔認証は、模倣が困難な人間の顔の特徴を使った、本人認証方法のひとつです。アクセス権を与える顔のみを顔認証リーダーに登録するため、登録者以外の出入りを制限できます。顔認証機能が備わった認証リーダーをエントランスや特定のドアなどに設置すると、ハイレベルなセキュリティ環境が実現します。顔認証機能を有効に使用するには、あらかじめ定められたプロセスに従って顔情報の登録が必要です。FE-500で顔認証を利用するときの顔の登録プロセスや顔認証にご興味がある方は、KJ TECH japanまでお問い合わせください。