コラム
COLUMN
セキュリティ対策の基本となる入退室管理・入室管理システム
機密データや個人情報、それらを管理するシステムなどは企業における情報資産となります。部外者だけでなく内部からの不正によって、盗難や情報漏洩といった問題を低減するには適切なセキュリティ対策が必要です。セキュリティ対策を行う方法のひとつに、人の出入りを記録する入退室管理・入室管理があります。従業員など人の出入りを記録する入退室管理・入室管理には、セキュリティ対策とあわせて得られるメリットや活用方法があります。
◎セキュリティ課題の解決に求められる入退室管理
パソコンやスマートフォンなどが普及するのに伴い、世の中では情報のデータ化が一般的となりました。その利便性の高さから、企業でもインターネットや社内ネットワークを介した情報管理が多く行われています。しかし、セキュリティ管理の脆弱な部分をついた情報漏洩や流出、不正侵入といった事件があとを絶ちません。人の出入りを記録する入退室管理・入室管理は、情報を扱う企業や重要施設といった建物内部のセキュリティ対策に適しています。建物へのセキュリティ対策で、最も重要視される課題に「不正侵入の防止」があげられます。不正侵入は、部外者のなりすましや共連れなどが原因でトラブルが発生する事象です。不正侵入によって企業が管理する情報漏洩や盗難などが起これば、甚大な損害を被りかねません。被害を最小限に抑えるためのセキュリティ対策は、世界的にも必要とされています。セキュリティエリアへの入退室や外部からの来訪者の出入りを記録する入退室管理は、問題が発生した際の状況確認や原因究明にも役立ちます。問題が起きれば、場合によって監査が入り適切な管理体制が組まれていたかを、調査する可能性もあります。セキュリティレベルに応じた適切な管理が行われていなければ、企業での管理責任を問われる問題に発展しかねません。適切な情報管理が行われていることを示すISMS認証やPマークの取得は、社会的信用の向上に寄与します。認証を取得するには、提示されている規程に則った管理体制の施行が重要です。ISMS認証やPマークの取得を目指す際に、入退室管理・入室管理システムの導入を検討する企業も年々増えています。入退室管理とは具体的にどのようなものか、スムーズな運用ができるのかと不安視する声をときには耳にしますが、適切な導入手順を踏むことで、運用にストレスのない入退室管理・入室管理システムの構築は可能です。セキュリティを強化し、正確な記録を残す入退室管理システムは、ISMS認証やPマークの取得をサポートします。
◎企業における入退室管理の導入義務
セキュリティ対策の強化を求められている昨今、人の出入りを記録する入退室管理・入室管理は多くの場面で必要とされています。なかには、企業におけるセキュリティ対策を行うのに、入退室管理の導入は義務なのかと疑問に思われる方もいます。結論からいうと、入退室管理の導入は法的義務ではありません。しかしながら情報漏洩や個人情報の流出といった事件は後を絶たず、年々セキュリティの強化を求められているのが現状です。インターネットの普及に伴い、世界的にみても情報データのセキュリティ対策は重要性を増しています。そのため、入退室管理・入室管理の導入は法的義務ではないものの、企業において適切に情報を保管し管理することは、社会的責務であるといえます。人が出入りした記録をデータに残す入退室管理は、内部不正を防ぐ抑止力にも効果的です。セキュリティレベルの高いエリアには、リアルタイムにデータの確認ができる入退室管理システムの構築が適しています。入退室管理・入室管理システムによって記録されたデータは、USBに抽出し保管することも可能です。問題が発生した際に、さかのぼって確認ができる入室管理・入退室管理の記録は貴重なデータとなります。業務負担や人手を増やすことなく、正確な入室管理・入退室管理を行う入退室管理システムは、一元管理が可能な点も魅力のひとつです。入室管理・入退室管理システムの導入は、ISMS認証の取得にも役立ちます。国際規格であるISMS認証は、海外企業からの信用を得られるきっかけにもなるため、取得を目指す企業は年々増加傾向にあります。ISMS認証の取得に定められている規程のなかにも、入室管理・入退室管理システムの導入は義務付けられてはいません。規程には「その区間のセキュリティレベルに応じた、入室管理・入退室管理が適切に行われていること」が求められています。自社で管理方法を定める必要があるため規程に則った管理体制を整えるには、入室管理・入退室管理システムの導入が有効である、との認識が広がっています。
◎ISMS認証やPマーク取得に役立つ入退室管理
ISMS認証とは「情報セキュリティマネジメントシステム」を指しており、企業の機密情報を適切に管理運用していることを示します。認証基準である「ISO27001」が国際標準となっており規格化されているため、海外でも通用する認証です。第三者機関からチェックを受け、情報管理が適切と判断されれば取得可能となるISMS認証には、セキュリティ対策に必要な基本3要素が定められています。ひとつは、限られた人のみ情報に接触できる「機密性」です。外部に情報が漏れないよう、接触できる人物を限定することで情報を守ります。つぎに、不正な改ざんから保護する「完全性」が定められています。情報の改ざんを防ぐには、管理している情報が常に正確であると判断できることが大切です。最後に、利用者が必要に応じて安全にアクセスできる「可用性」が求められています。たとえば情報を取り出す際にサーバーダウンを起こしかねない不安定な状態では、可用性が確立されているとはいえません。入室管理・入退室管理システムは、基本3要素である機密性の強化に最適です。ISMSには具体的な入退室管理方法は定められていませんが、セキュリティ強化に有効な入退室管理システムは、エリア内の機密性を高めます。Pマークは「プライバシーマーク」と呼ばれており、個人情報の管理が適切に行われていることを示します。日本産業規格であるJIS Q 15001「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」をもとに、管理運用することが大切です。要求事項に記載されている条件を満たし、第三者機関から適切に管理運用できていると判断されれば取得できます。Pマーク取得に至るまでの要求事項には、入退室管理表の作成が明確に求められています。そのため人の出入りを正確に残す「入退室記録」と、外部からの来訪者が建物内に出入りした「来客記録」の作成が必要です。「いつ、誰が、どこに」出入りしたかを記録する入退室管理システムは、正確なデータを残すだけでなく部外者による不正侵入の防止にも役立ちます。
◎セキュリティ対策に入退室管理を導入するメリット
機密情報や個人情報を厳格に管理運用する入退室管理は、企業におけるリスクマネジメントの見える化を図ります。入室管理・入退室管理を導入する際には、改めてセキュリティ対策が求められるエリアや重要情報の保管場所などの見直しが必要です。入室管理・入退室管理の導入に際し、企業が管理する情報資産を再度見直すことは、セキュリティに対する従業員の意識改革にもつながります。万が一、外部に情報が洩れてしまった場合、企業は社会的信用を失うだけでなく損害賠償や刑事罰といった影響を被る可能性があります。入室管理・入退室管理のシステム構築には多少なりとも時間や費用を要しますが、被害損失を最小限に抑えることを考えれば、必要経費ともいえます。適切なセキュリティ対策として入室管理・入退室管理で人の出入りを記録しておけば、トラブルが起こった際にも重要な記録データとして活用可能です。入室管理・入退室管理システムの導入をきっかけに、ISMS認証やPマークの取得ができれば企業における社会的信用の向上にも役立ちます。認証マーク取得のため、企業が管理する情報資産の把握やセキュリティエリアを明確にし、適切な管理体制を整えることは入室管理・入退室管理を導入するメリットのひとつです。認証マークの取得は取引先からの信用を得るだけでなく、社会的信用の向上にもつながるため今後の事業発展に貢献します。従業員の勤怠管理にも役立つ入退室管理は、人事労務の業務負担軽減に有効です。2019年4月に施行された労働安全衛生法の改正により、従業員の「労働時間の把握」が義務化されました。そのため、企業は全従業員の過去3年分の出退勤記録を残さなければなりません。労働時間の未把握は法令違反となり是正勧告の対象になるため、正確な勤怠管理が必要です。残業や休日出勤といったイレギュラーに対しては、時間記録だけでなく勤務背景の把握も求められています。人事労務の負担を軽減する入退室管理の導入は、従業員の労働時間を客観的に把握する手段としても最適です。
◎セキュリティ対策に適した入退室管理の構築方法
セキュリティ対策として入室管理・入退室管理を行う方法には、大きく分けてふたつのパターンがあります。ひとつは、警備員や受付に配置した人員によって対面を行い、台帳へ記録を残すものです。もうひとつは、システムを用いた入室管理・入退室管理方法となります。それぞれにメリットやデメリットはありますが、セキュリティ対策を行う場所に応じた選択が大切です。人員を配置した入室管理・入退室管理は対面で行われるため、少なからず相手にプレッシャーを与えることができます。しかしながら人手を介した管理形態では、記帳漏れや確認不足といった人的ミスが起こらないともいえません。ほかにも、入室管理・入退室管理を行う人員コストの負担や人手の確保といった課題を抱える場合もあります。目視確認で行われる入室管理・入退室管理は従来からある方法ですが、人手を要するためセキュリティ対策において、さまざまな課題が残ることは否めません。近年、多くみられる入退室管理システムは認証端末を用いた管理方法です。ICカードや顔認証、指紋認証などを活用した入室管理・入退室管理は、確認のために人員を配置する必要がありません。生体認証のひとつである顔認証や指紋認証などは、身体の一部を用いることから偽造や盗難のリスクを最小限に抑えます。AIを活用した認証技術の向上により、なりすましや共連れといった不正侵入の正確な検知も可能です。一時的な導入コストは掛かりますが安定した入退室管理が可能なため、安全性のあるセキュリティ対策を構築します。
◎セキュリティを構築する入退室管理システムの導入事例
人の出入りを記録する入退室管理は、セキュリティ対策が必要なエリア内の防犯性を高めます。セキュリティ対策以外に、勤怠管理や記録管理が必要な業務にも役立つため、活用シーンは幅広くあります。
○従業員の正確な勤怠管理や業務の効率化を実現
人事労務の業務負担を軽減し効率的なものにするため、入室管理・入退室管理システムと連携した勤怠管理を構築しました。システムの構築には顔認証を用いており、本人でないと認証されず勤務時間も記録されない仕組みです。顔認証によって正しく認証されれば入退室可能となるため、不正侵入を防止するセキュリティ対策にも適しています。入室管理・入退室管理システムに顔認証を導入する以前は、ICカードを用いた記録管理を行っていました。しかし、カード忘れや紛失といったトラブルが年に数件起きていたため、セキュリティの見直しを求められます。顔認証は紛失や盗難のリスクがほぼないため、イレギュラーな対応業務が発生することもありません。建物内部のセキュリティを強化しながら、業務効率化も図れる入室管理・入退室管理システムは、煩雑になりがちな業務管理をサポートしてくれます。
○ISMS認証の取得を目指し入室管理・入退室管理を導入
企業における社会的信用の向上を図ることを目的に、ISMS認証の取得のため入退室管理システムを導入しました。多くの機密情報や個人情報を扱うIT業界において、ISMS認証の取得は年々増加傾向にあります。海外にも通用するISMS認証を取得するには、情報管理に適切なセキュリティ対策が必要です。導入の際には、セキュリティレベルごとにエリアの区分けを行い、情報管理の重要度合を明確にしました。情報管理の重要性を明確にすることで、セキュリティ管理に携わる従業員の意識改革を図ります。社内では情報管理の内容を改めて把握しなおし、実用的な運用ができるよう入室管理・入退室管理システムを用いた管理体制を整えました。社内一丸となってセキュリティ対策を行い、ISMS認証の取得ができたことは事業実績の向上にもつながりました。
◎まとめ
建物内部の安全を守る入室管理・入退室管理は、セキュリティ対策の基本ともいえます。部外者の不正侵入や内部による犯行を抑制するには、セキュリティレベルにあった入室管理・入退室管理が重要です。情報を保管し管理するエリアでのセキュリティ対策を見直し、適切な管理体制を整えるには専門業者への相談も大切になります。セキュリティ対策に適した入室管理・入退室管理をご検討の際は、KJ TECH japanまでお問い合わせください。