コラム
COLUMN
自動ドアのセキュリティ強化に静脈認証を導入するメリット
商業施設やオフィスなどに設置されていることの多い自動ドアは、扉の押し引きをする必要がないため人の出入りを快適に促します。混雑緩和にも役立つ自動ドアですが、セキュリティ管理を求められるエリアでは場面に応じた対策が必要です。誰もが簡単に出入りできるような仕組みのままでは、自動ドアの魅力を最大限にいかせません。自動ドアで快適に出入りのできる仕組みの構築に静脈認証があります。静脈認証は、手指をかざすことによって、本人確認ができるため老若男女問わずスムーズに認証が行えるシステムです。
◎自動ドアが設置される背景
室内温度を保つ目的や、ドアの閉め忘れの防止などに設置されることの多い自動ドアは、ドア上部に搭載されたセンサーによって開閉動作が行われます。突然ドアが閉まることのないように設計された自動ドアは、安全性の高い開閉システムです。センサーの検出範囲に人やモノが入り込むことで、自動ドアが開閉するため出入りのたびに扉を押し引きする必要がありません。またガラス張りの自動ドアであれば、前方から来る通行人も確認できるため安全に出入りをすることができます。自動ドアには、片引きタイプと引き分けタイプが主に用いられており、場所に応じて適したタイプのものが設置されています。自動ドアの大きな特徴は、スムーズな出入りができることです。自動ドアは車椅子やベビーカーでも通りやすいため、身近なところではコンビニの出入り口やスーパーなどの商業施設に設置されています。そのほかオフィスビルや病院、宿泊施設などにも自動ドアは設置されており、その種類はさまざまです。医療施設や食品工場、精密機械の製造工場などに多く見られる自動ドアでは、衛生管理を重視する現場では、ホコリや塵の侵入を防止する役割を果たします。気密性の高い自動ドアを設置したうえで、室内側の気圧を高めることによりホコリや塵が侵入するのを防ぎます。また自動ドアは出入りをする際にドアノブへ触れる必要がないため、感染症防止にも有効です。こうした現場では無駄な開閉動作が発生しないよう、足元にスイッチが付いた半自動ドアタイプが設置されているケースもあります。図書館や放送局、実験室など遮音性が求められる場所においては、自動ドアによって締め忘れが発生しないため静かな環境を整えるのに最適です。このように自動ドアは誰もが出入りをしやすく、目的に沿って設置されることが多くあります。しかしセキュリティ性を求められる場所においては、堅牢性のある適切な対策が求められています。ドアの開閉によって複数人が同時に通行できる自動ドアへ適切な対策を施すには、「いつ誰がどこに」出入りを行ったのかを正確に記録のできる入退室管理が必要です。
◎自動ドアのセキュリティ強化に静脈認証
自動ドアのセキュリティ強化に対するニーズは、年々増加傾向にあります。扉を押し引きする必要のない自動ドアは利便性に優れている一方、誰もが簡単に出入りしやすいため関係者以外の人物を招き入れる可能性があるためです。オフィスのフロアに関係者以外の人物が出入りするのを防ぐには、自動ドアに適した仕組みを構築する必要があります。従来の方法では、暗証番号の入力やICカードを用いた入退室管理方法が主流となっていました。しかし、セキュリティ対策として設定したはずの暗証番号が外部に流出するリスクやICカードの紛失、盗難といったトラブルを抱えています。仮に入退室権限のない人物であっても暗証番号の入力さえできてしまえば、自動ドアを突破することが可能です。同様に盗難や不正な譲渡によって入手したICカードを用いることで、対策が施された自動ドアを通過することもできます。確実に入退室権限のある人物であることを認証したうえで、自動ドアが開閉するシステムを構築するには生体認証が最適です。生体認証のなかでも静脈認証という方法であれば、複製が困難なためレベルの高いセキュリティ対策が実現します。静脈認証は手をかざすだけで、本人確認ができる方法です。そのため、非接触で出入りができる自動ドアに適した認証方法といえます。直接認証リーダーに触れることなく、本人確認ができる静脈認証は衛生面にも優れています。静脈認証が読み取るのは、身体の内部に存在する静脈のパターンです。静脈の形状を推測することは極めて難しいため、暗証番号のように盗み見ることはできません。また静脈認証の特徴は、指紋のように外部へ残留することがないため安全性にも長けています。複製による偽造やなりましが困難とされている静脈認証は、自動ドアが抱えるセキュリティ課題に対してレベルの高い対策を講じることが可能です。自動ドアに静脈認証を用いた入退室管理が実現すれば、セキュリティに対する従業員の意識向上にも役立ちます。正確性の高い静脈認証は、適正な入退室記録を残すことも可能です。万が一、トラブルが発生したとしても正確に記録された入退室記録をもとに、迅速な状況確認が行えるので管理者の負担軽減にも貢献します。
◎静脈認証の仕組みや種類
静脈認証は生体認証のなかでも、正確性の高い本人確認ができる位置に分類されています。人によって異なる静脈パターンを検出し、照合することで正確な本人確認を行います。静脈認証では手のひらに近赤外線光を照射して、データの検出を行う方法です。手のひらに近赤外線を照射すると、皮下組織の静脈内を流れる還元ヘモグロビンが近赤外線を吸収し、静脈パターンが黒く映し出される仕組みとなっています。黒く映し出された網目状の静脈パターンから静脈地図を作製し、そのデータを事前登録する流れで設定が行われます。静脈認証を行う際には事前登録された静脈パターンとの照合を行うことで、正確な本人確認がされる仕組みです。よく似た双子であってもそれぞれがもつ静脈パターンは異なるため、基本的に静脈認証で誤認されることはほとんどありません。静脈認証には3つの種類が存在しており、それぞれ手指の読み取り部分によって名称が異なります。ひとつは、指の第二関節部分で認証する「指静脈認証」です。指の第二関節部分をセンサーにかざして、事前登録された指の静脈パターンを読み取ります。指先で静脈認証を行うため、機器の小型化が可能です。2つめには、手のひらを広げた状態で静脈認証を行う「手のひら静脈認証」があります。手のひら静脈認証は、「掌静脈認証」とも表記されています。手のひら静脈認証では、指静脈認証のようにデータ登録を行う指を選ぶ必要がありません。手のひらを広げるだけで本人確認ができる手のひら静脈認証は、老若男女問わず認証のしやすい方法です。多くの静脈パターンを読み取れる手のひら静脈認証では、複雑な静脈データを事前登録するためセキュリティ性にも優れています。堅牢性の向上を図るためには多くの静脈データが検出できる、手のひら静脈認証を用いたシステムの構築が適しています。指静脈認証や手のひら静脈認証のほかに、「手の甲静脈認証」と呼ばれる方法が3つめの静脈認証方法です。指静脈認証や手のひら静脈認証と同様に手の甲から静脈パターンを読み取り、本人であることを特定します。指静脈認証や手のひら静脈認証、手の甲静脈認証とそれぞれに認証に用いる部分が異なるため、用途にあわせた選択が必要です。身体の内部に存在する静脈を読み取ることによって本人確認を行う静脈認証は、セキュリティ対策におけるメリットも多く存在しています。
◎静脈認証を導入するメリット
自動ドアの入退室管理に静脈認証を導入するメリットには、触れたものへ静脈の痕跡が残らない点があげられます。身体の内部にある静脈パターンは、外見から推測することも極めて困難なため偽造リスクがほとんどありません。なりすましの画策をも抑制できる静脈認証は、防犯対策に適した認証方法です。基本的に静脈の形状が変わることや消えることのない静脈認証は、経年変化への耐性も備えています。また体調や気候によって静脈パターンが大きく変化することもないため、静脈認証時にエラーが発生する機会を低減します。身体の内部に存在する静脈を読み取る静脈認証は、手指の荒れや発疹、ひび割れといった皮膚トラブルに直接影響を受けることがありません。静脈認証では手や指をかざすだけでよいため、利用者側の心理的抵抗が少ないといったメリットも存在します。一見、導入コストがかかるようにみえる静脈認証ですが、長期的な視点でみるとあらゆる場面での大幅なコスト削減が可能です。たとえば静脈認証ではパスワードの入力が不要なことから、定期的な更新や再設定などの手間を減らします。1度の登録で長期運用ができるのは、静脈認証のメリットです。また個々に用いるICカードの発行が不要なため、紛失や盗難、不正な譲渡といったトラブルもありません。トラブルの要因となる事象を低減できる静脈認証では、業務の省力化に有効的です。静脈認証を用いた入退室管理と勤怠管理システムを連携すれば、人事労務における業務効率化にも役立ちます。時間設定にも対応した静脈認証であれば時間外での入退室を制限し、不要な人の出入りを防ぐことも可能です。同時に自動ドアの施錠忘れといったヒューマンエラーを低減できるシステムの構築は、管理者の業務負担を軽減します。セキュリティ対策の強化だけでなく、業務上の負担軽減や効率的なシステムの構築もできる静脈認証は、費用対効果に優れた入退室管理を実現します。
◎高精度な静脈認証リーダーFE-700VE
静脈認証リーダー「FE-700VE」は、手のひらの静脈を読み取って高精度に本人確認を行える入退室管理対応の装置です。この製品は、認証スピードに優れており、手を開いた状態でセンサーの約15〜40cmの範囲にかざすだけで、0.5秒未満で本人確認が完了します。最大で10,000件の静脈データを登録できるため、多人数が利用する施設にも対応可能です。FE-700VEは、静脈認証に加えて、顔認証・ICカード認証・暗証番号入力にも対応しており、利用シーンに応じた柔軟な運用が可能です。顔認証はカメラから2m以内の距離で人物を認識し、複数人を同時に認証できるマルチモード機能も備えています。この機能により、オフィスや施設の入退室時に混雑を軽減することができます。さらに、顔認証機能には赤外線LEDによるライブ検出が搭載されており、写真や動画を使ったなりすまし行為への対策として有効です。こうしたセキュリティ強化によって、不正な侵入を未然に防ぐことが可能になります。また、静脈認証リーダーFE-700VEは、防塵・防水性においても高い基準を満たしており、IP65に準拠しています。屋内外を問わず、さまざまな環境で安定した運用を実現できます。
◎静脈認証リーダーFE-700VEを用いた自動ドアの活用シーン
あらゆる場面に設置されている自動ドアはスムーズな出入りが可能なため、人の手をわずらわせることがありません。快適な通行を妨げることなく本人確認ができる静脈認証は、自動ドアに適した入退室管理として広く活用されています。
○金融機関のセキュリティゾーンにFE-700VEの静脈認証を活用
企業や行政機関の間で行われる取り引き情報を多く取り扱っている金融機関では、適切なセキュリティ対策が求められています。情報の漏洩防止や企業における社会的信用の失墜を防ぐためにも、セキュリティエリアでは正確性の高い本人確認を実施しなければなりません。セキュリティエリアの堅牢性を高めるため、自動ドアの入退室管理に静脈認証を活用しています。FE-700VEの静脈認証では、認証リーダーに手をかざすだけなので、利便性にも優れています。暗証番号の漏洩やICカードに起こりうるトラブルを低減する静脈認証は、部外者の不正侵入抑制にも最適です。トラブルの要因を低減する静脈認証によって、堅牢性のあるセキュリティ対策が実現しました。
○会員制クラブの入退室管理にFE-700VEの静脈認証を活用
機密性を求められる会員制クラブの自動ドアに、FE-700VEの静脈認証を活用しています。認証リーダーに手指をかざすだけで本人確認ができる静脈認証は、非接触で認証ができるため衛生的な運用が可能です。静脈認証は経年変化の影響を受けることがないため、1度データを登録すれば定期的な更新を必要としません。長期的な運用にも適した静脈認証の導入によって、会員様にも快適な利用ができるとご好評いただいております。偽造やなりすましをも防止できる静脈認証は、安全なプライベート空間の構築に最適です。
○研究所の出入り口にFE-700VEの静脈認証を活用
研究データの漏洩や改ざん防止のために、静脈認証を用いた自動ドアのセキュリティ対策を実施しています。FE-700VEの静脈認証を用いた入退室管理は「いつ、どこに、誰が」出入りを行ったか正確に記録できるため、物品の盗難や不正なデータの持ち出しの抑制に効果的です。身体の内部にある静脈パターンを読み取る静脈認証では、指紋のように不正にデータを採取されることがありません。そのため、偽造リスクが極めて低く、なりすましのような不正行為を防止します。また勤怠管理との連携もできる静脈認証は、研究者の勤務時間を適正に記録できるため効率的な労務管理の構築にも役立ちます。
◎まとめ
情報セキュリティの強化が求められる昨今、安全な運用と堅牢性を向上する管理システムが必要とされています。静脈認証は身体の内部にある静脈パターンを検出して、本人確認を行うため自動ドアのセキュリティ強化に最適といえます。出入りのたびに扉の開閉動作が不要な自動ドアと、手指をかざすだけで本人確認ができる静脈認証は相性のよいシステムです。長期的な運用にも適した静脈認証は、費用対効果に優れたシステムの運用を実現します。自動ドアに静脈認証の導入をご検討の際には、KJ TECH japanまでお問い合わせください。